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「朝日」が怖いのは「ぶれない」安倍氏

 総裁選挙の翌日、各紙は新総裁誕生に関する社説を一斉に掲げたが、そのなかで朝日新聞の社説はあまりに異様だった。
 タイトルは「安倍新総裁 不安いっぱいの船出」。「新鮮さがあまりわきあがってこない」などと精一杯ケチを付けつつ、国民的支持の高さについては「彼の人気の源泉は靖国や拉致問題で見せた、北朝鮮や中国などに対する強硬な
言動だ。それが世の中に広まるナショナリズムの風潮にふわりと乗った」と揶揄し、「安倍人気」には「自民党の人材枯渇」とさえ嘆いてみせた。
 さらに、「駆け出し議員のころから歴史教科書や慰安婦、歴史認識問題などで政府や党の姿勢を批判してきた過去がある。/若い政治家が過激な発言で注目を集めることは珍しくない。だが、経験を重ねる中で、積み上げられた政府見解や外交の重さを学び、修正していく。それが自民党の政治家養成法でもあった」と書く。そのうえで「頼みの人気が陰った時、さらにナショナリズムのアクセルを踏み込みはしないか。冷戦後の複雑化する世界を冷静に、したたかに乗り切れるか。不安は募る」と結論づける、という具合である。
 いつもながらの「朝日らしさ」がぷんぷん臭う社説だが、朝日がこれまで散々批判してきた旧来型政治家を評価してまで、就任翌日に安倍新総裁を批判・牽制したところに朝日新聞の危機感が思わず出てしまったようにも思える。
 対北朝鮮・中国外交や靖国神社参拝問題、集団的自衛権の見直し、そして憲法改正……安倍新総裁の言動は、どれも朝日流の言説とはいわば対極にある。そんな安倍氏が総理に就任するのだから、朝日が危機感を持つのも頷ける。
 しかし、勘違いしてもらっては困る。安倍氏への国民的支持がこれだけ続いてきたのは、朝日が説くように重要ポストに就くにつれ「修正」されてきたからではなく、逆に重要ポストに就いてもその発言がまったくぶれなかったからに他ならない(それは即ち、朝日流の言説が国民的支持を失ってきたということでもある)。そんな安倍氏が、ぶれないまま総理になって手腕をふるわれては困るというのが朝日の本音ではあるまいか。
 事実、朝日の思惑に真っ向から立ち向かってきたのも安倍氏だった。昨年、安倍氏と中川昭一両氏がNHK番組に圧力をかけたという朝日の記事を巡る、いわゆる「捏造」記事問題が起こった際、安倍氏はまったくたじろがなかった。逆に、自らの信念をこう語っていた。「(朝日新聞の)こうした報道姿勢がいかに薄っぺらな、欺瞞に満ちたものであるかということを、もう国民は見抜いているんですね。私も随分、誹謗中傷にあいましたけれども、幸い私に対する支持は揺るがない。いままで朝日新聞が攻撃した人物の多くは政治的に抹殺されてきた経緯があり、みな朝日に対しては遠慮せざるを得なかった。しかし、私は言うべきことは言うべきと考え、朝日に対しても毅然とした態度をとります。自分は国家、国民のために行動しているんだという確信があれば決してたじろぐことはない」(『諸君!』平成17年3月号)と。
 そうした「戦う政治家」としての姿勢は総理になっても変わらないだろう。「不安いっぱい」は朝日新聞の方ではあるまいか。