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専守防衛では国は守れない

 専守防衛は、我が国の安全保障政策の基本理念となっている。国会の議事録を調べてみると「専守防衛」という言葉が登場したのは昭和30年の杉原荒田防衛庁長官の答弁「わが国は、相手から攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使し、その対応も自衛のための必要最小限度にとどめる。防衛上の必要からも相手の基地攻撃をすることなく、専ら我が国およびその周辺において防衛を行う」が最初である。その後も国会答弁でたびたび重用され、正式に我が国防衛の基本政策に位置づけられたのは昭和45年の中曽根康弘防衛庁長官時代に出された防衛白書に明記されてからである。これによって我が国の防衛力の行使が非常に抑制的なものとなってしまった。
 北朝鮮は7月のミサイル発射に続いて、今度は核実験実施の声明(10月7日時点では北朝鮮は核実験を実施していない)を行い、我が国への脅威を作り出しているが、仮に北朝鮮が日本を標的にしたミサイル攻撃を行えば、相手の基地を攻撃しないという専守防衛の考えでは国を守ることは出来ない。現状では日米安保条約に基づいて米軍に頼らざるをえないが、米国本土がミサイル攻撃の危険にさらされた場合、果たして米国が日本のために北朝鮮に対して報復攻撃を加えてくれるという保障は何処にもなく、自国の決定的な安全を他国(米国)に委ねるべきではない。
 専守防衛は、軍事用語ではなく極めて政治的な用語であり、軍事的な視点から見れば非現実的な理念である。まさに戦後の「一国平和主義」を象徴する用語の一つと言える。
 安倍総理は国会での所信表明演説で、集団的自衛権の行使について具体例を研究する考えを表明したが、専守防衛についても見直しを進める時期にきているのではないだろうか。 
 そうしなければ、今後国際社会が多極化する中、日本の平和と安全を維持することは難しくなっていくに違いない。