バックナンバー



国連安保理「北朝鮮制裁決議」採択と今後

 国連安全保障理事会は10月15日未明、核実験実施を表明した北朝鮮に対し、国連憲章第7章に基づく制裁決議を採択した。決議は「(強制措置の法的根拠となる)国連憲章7章に基づいて行動し、7章41条の下で措置を講じる」と明記。大量破壊兵器にかかわる北朝鮮の「ヒト、モノ、カネ」の移転を禁じ、北朝鮮船舶などへの「貨物検査(臨検)を含む協調行動」を加盟国に求めた。
 これに対し、北朝鮮の朴吉淵国連大使は安保理の決議採択を「ギャング的行為」と非難し、「不当決議を全面的に拒否する」と表明。核実験は「米国による核の脅しと制裁、圧力強化が原因」と正当化し、米国が今後も北朝鮮への圧力強化を継続すれば「宣戦布告」とみなし「物理的対抗措置を取る」と警告した。
 これに先立ち、日本政府は北朝鮮の核実験翌々日の11日には日本単独の制裁を決定した。具体的には1.全ての北朝鮮籍船舶の日本への入港禁止2.北朝鮮からの全ての品目の輸入禁止3.北朝鮮籍を有する者の入国の原則禁止。また今後北朝鮮の対応、国際社会の動向などを考慮しつつ、さらなる対応を検討するとしている。
 国際社会に先駆けての日本政府の対応の早さは、安倍総理が国会の所信表明演説で示した「主張する外交への転換」とも言える。日本の一部マスコミの中には、日本政府が先行して厳しい措置を取ったことに対して「中韓など関係国との足並みが乱れては逆効果になる。単なる国内向けのパフォーマンスと勘ぐられないためにも、関係国間の結束を第一に考え、制裁の運用は注意深い姿勢で臨みたい。」という社説を掲載する新聞もあったが、多くの日本人は日本単独の制裁決定を支持しているはずだ。
 北朝鮮の核実験(核武装)により最も深刻な脅威にさらされるのは日本であり、今後日本独自の制裁や国連決議に基づく制裁が発動される過程で不足の事態が起こる可能性が考えられる。その際、日本の取れる対応は現在の法制では限界があることは明らかであり新たな法整備を行わなければ、北朝鮮の恫喝「物理的対抗措置」に対処することはできない。
 北朝鮮の核実験は、東西冷戦構造崩壊後に起きた湾岸戦争、イラク戦争とは違い、直接日本に火の粉がかかる問題である。今後、2回、3回と北朝鮮は核実験を実施することが予想される。日本政府は最悪のシナリオを想定し対北朝鮮に臨むことが、国際社会の一員としての使命であり、日本人の生命と財産を守ることにつながるのである。