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安倍首相、皇室典範「有識者会議」報告を白紙に
新年早々のグッドニュースは安倍首相による皇室典範改正の見直し表明だった。事の発端は一月三日の産経新聞一面である。同紙は次のように報じた。
「安倍晋三首相は、政府の『皇室典範に関する有識者会議』(座長・吉川弘之元東大総長)が平成17年にまとめた、象徴天皇制の維持を目的に女系皇族にも皇位継承権を認めるとの内容の報告書を白紙に戻す方針を決めた。秋篠宮家に悠仁(ひさひと)さまが皇室の約40年ぶりの男子として誕生され、報告書の前提条件が変わったと判断した。ただ、皇位の安定的継承は依然、課題として残っており、男系による皇位継承維持の方策について、皇室典範改正や特別措置法制定を視野に、政府部内で議論を始める」
むろん、これは注目すべきスクープではあったものの、産経一紙のみが報じたニュースに過ぎないのも事実であった。これが事実ならば、われわれ保守派が待ちに待った首相の決断ということにはなるわけだが、そのためにはやはり首相の言葉による直接の確認が欲しいとの気持ちは否めなかった。
タイミング良く翌日は首相の伊勢神宮参拝の日だった。どこの社の記者か知らないが、参拝を終えた首相に次のように問いかけた。やりとりは以下の通り。
「記者:今日の参拝ではどんなお願いをされましたか?」
「安倍首相:厳粛な気持ちで参拝をしてまいりました。日本国の安寧と繁栄を祈り、皇室の弥栄を、そして世界の平和を祈念をしてまいりました」
「記者:関連ですが、今、『ご皇室の弥栄』という言葉をおっしゃったが、皇位の安定的な継承に向けて、皇室典範の見直し等、具体的にどのように作業を進めていかれるお考えか」
「首相:皇位の安定的な継承は国の基本的な問題でもあると思っています。昨年、悠仁親王殿下がご誕生になりました。そのことも踏まえて、安定的な継承について静かに深く議論をしていきたいと考えています」
きわめて慎重な答えぶりとはいえ、首相の答えは肝心な点をきちんと抑えたものだった。つまり、悠仁親王殿下がご誕生になられたという重い事実を踏まえ、新たに皇室典範改正の議論を進めていくというのである。
これ以上の解説は必要ないと思うが、要するに愛子内親王殿下による皇位継承を前提とした、女帝・女系容認論を内容とする先の有識者会議の皇室典範改正案を白紙に戻すということだ。彼らが想定した愛子内親王殿下による皇位継承ではなく、悠仁親王殿下による皇位継承を基本にする、という考え方である。
むろん、これは現行皇室典範が想定する考え方でもあるが、首相はもちろん現行の皇室典範のままでやっていけると考えているわけではない。皇位の「安定的継承」という視点からいうと、やはり次世代の男子皇族が悠仁親王殿下お一人という状況は問題であり、その点を踏まえ、今後「静かに深く」議論する必要があるというのである。
「深く」という言葉は「皇室の歴史など関係ない」とした有識者会議のやり方への言外の批判ともとれるが、いずれにしても産経の前日のスクープはこの首相の言葉で間違いのない事実であることが確認された。
さて、筆者はこのようにしてこのグッドニュースを喜んだわけだが、もう一つ印象に残ったことがあった。この記者とのやりとりの中での最初の首相の言葉である。伊勢神宮参拝を「厳粛」な気持ちで行ったといい、更に「皇室の弥栄」を祈念してきたと首相はあえて答えているからである。「日本国の安寧と繁栄」、「世界の平和」とは誰もが答える言葉であろうが、「皇室の弥栄」という言葉はそう簡単に出てくる言葉ではない。正統保守主義者としての首相の皇室観というものが、ここに期せずして表れたと感じた。
この日のテレビは「首相と小沢代表、ニアミス」などと、同日に伊勢神宮参拝をした首相と小沢民主党代表の参拝の模様を報じていたが、一方で報じられた小沢代表はどのような気持ちで参拝したかを問われ、「参院選における必勝」を祈念した旨を答えていた。政治家だから選挙が出て来るのは当然ともいえるが、ここに両者における政治家としての格の違いを感じた国民は多かったのではなかろうか。
マスコミは今、まさに謀ったかのごとく安倍政権への国民の失望感とやらを演出すべく躍起となっている。タカ派の「危険な首相」というより「無力な首相」とのイメージづけである。しかし、国民の首相イメージなどというものはどのようにでも動く。首相としては今回のように、初心を忘れず、ぶれることなく、着々と自分の政策を実行に移していくことが必要なのではないか。 |
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