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「バスに乗り遅れるな」で拉致被害者を置き去りにしてならない
総裁選の最中「まだ向こうに残っている人がいると聞くと見捨ててはおけない、私の手でこの問題を解決したい」と述べ、安倍政権から拉致対策本部(本部長福田首相、副本部長町村官房長官、拉致担当首相補佐官は中山恭子氏再任)と、「拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化なし」「対話と圧力」との原則が前提の6項目方針を引き継いだ福田康夫氏。官房長官時代の「呉下の阿蒙にあらず」、北朝鮮に対する毅然とした対応を(ほんの少しだけでも)期待する向きもあったであろう。
しかし最近のニュースは「政府は11日、北朝鮮が日本人拉致被害者の再調査などに応じた場合、北朝鮮の水害被害に対する人道支援に踏み切る方向で検討に入った。南北首脳会談などで北朝鮮の金正日総書記が福田政権との交渉に前向きな姿勢を示す中で、『対話』のためのカードを確保する狙いがある」と報じた。外務省筋にとっては「拉致問題は解決済みとしてきた北朝鮮の姿勢に微妙な変化がうかがえる」ということらしいが、先方が日本の対北朝鮮(宥和)姿勢の瀬踏みをしているということに彼らも気付いていないわけあるまい。
平成17年9月以降の制裁が効果を挙げたおかげで北朝鮮が6カ国協議に戻ってきたとすれば、今こそ日本はそれを我が土俵とわきまえて強力なイニシアティブを発揮してゆくべきときではなかろうか。それを「北朝鮮は核廃棄に向かう」「米朝関係改善」といった悪質なプロパガンダに煽動され(あるいは意図的に)6者合意=北朝鮮支援の実行を主張し、日本だけが孤立せぬよう「バスに乗り遅れるな」的な世論操作を目論む人士が他ならぬ日本国内に少なからず存在する。
日本近現代史上、特に外交関係において「バスに乗り遅れるな」的な政策で我が国は幾度も禍根を残した。日独伊三国同盟(1940)しかり、日中国交正常化(1972)しかり、いずれも国際社会の情勢を見極めた”つもり”で実行されたものでる。首相在任中の安倍氏は、そうした言説について「バスに乗ることで何を得ようとしているのか。バスに乗ることによって誰を置いていかなければならないか、そのことをよく考えなければならない」と懸念を示した。往時は共産主義に対する防備と台湾とを「置き去り」にしてしまったが、今、いわれなき拉致被害に遭った国民を置き去りにすることが断じてあってはならない。 |