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議会制民主主義を形骸化させるな

 1月11日、午前の参議院本会議で民主・共産・社民各党の反対多数で否決された「新テロ対策特別措置法案」は衆議院に返付され午後、本会議における再議決で自民・公明両党など3分の2以上の賛成多数で可決され成立した。これを受けて政府は1月下旬にも海上自衛隊部隊をインド洋へ派遣させる予定である。
 当該法案は確かに、現行憲法との整合性や日米関係のあり方について賛否があろう(はっきり言って今後の憲法論議を考えればかなり問題は残る)。しかしその内容の是非自体とは別次元で、この法案に関して与党以外ほぼ全ての政党が「参議院で否決されたので廃案にすべき」と口を揃えて高らかに主張していたのには閉口せざるをえなかった。確かに、参議院で反対多数により否決されたということの重みは大きい。法案が衆議院で可決されたが参議院で否決――つまり二院制をとる我が国の議会制民主主義において、一方の院により否定されたので、衆議院に差し戻されて「もう一度よく検討するように」ということなのである。
 しかし然るのち、衆議院で再び可決されれば法案が成立するというのは現行憲法59条2項に「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と明記されている通りである。その手続きについてまで、普段はひたすら「憲法を守れ」と遵法精神の旺盛さを見せる共産党・社民党までもが反対するのが不可解でならない。また憲法改正を容認している民主党にしてもその憲法改正案で「衆議院の優越を廃止せよ」と謳っているわけでもない。さらに、その民主党の代表が、11日の採決直前に衆議院から忽然と私用で退席したのはさらに不可解というべきだろう。
 つまりは「自分たちの気に喰わない法案が成立したらボイコットしてやる」といったメンタリティが残念ながら彼らの思想的根底にはあるということである。「数の暴力」という言葉を好んで使う野党代議士(党首含む)も多数見受けられるが、多数決という議決方法を否定すれば議会制を前提とした民主主義は成り立たない。これは他の例でいえば「国旗国歌法」などについてもよく見られるが、野党代議士の中には法案成立後ですら保守系議員に向かって「そんなのあんたたちが勝手に決めたんじゃないか」などと居直る人物まで存在する始末である。もしそれに類することを国会中の代議士が各々一斉に主張し始めれば我が国の政治が機能しえなくなることは一目瞭然である。これはもはや、政策論議ではなく議会を形骸化させたイデオロギー論争ではなかろうか。
 特定の主張・政策に対する賛否と、国制にのっとった議会制民主主義のルールを踏みにじる行為とを混同してはならない。