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国家を守る意志なくして「地方分権」なし
弁護士/タレント出身である、大阪府の橋下(はしもと)知事の動向が目下世間の耳目を集めている。そしてもう一人の“はしもと知事” ―― 「はしりゅう」こと故・橋本龍太郎元首相の異母弟である橋本大二郎前高知県知事が、2日の高知県庁における記者会見で次期衆院選に無所属で出馬(高知1区)する意向を正式に表明した。
記者会見では「中央集権を壊し、本格的な地方分権を目指す」と述べたようで、筆者も責任ある地方分権の発想であるならば否定しない。しかし橋本(大)氏の普段の主張などを見てみれば、彼が本当に国益のために働いてくれる政治家であるかどうか、疑わしさが拭えない。
氏は自身のブログ(「だいちゃんぜよ」/http://daichanzeyo.cocolog-nifty.com/)で<団塊の世代の一員として今、関心をもっていることの一つに、憲法を通じた、新しい国づくりの可能性があります>と伸べる。ここまではともかく問題は以降の行、<法律が出来るまでの経過や、安倍総理がそこに込めた思いはともかく、憲法を改正するための手続法が整いました> ―― 「戦後レジームからの脱却」といった理念にはあまり賛成しない(あるいはどうでもいい)ということは、何を目的とした憲法改正であるのか。
続いて曰く<アメリカの占領下で作られた、今の憲法を見直すといった、過去に引きずられた狭い視野からではなく、明治維新や敗戦に続く大きな時代の変革の中で、これから百年の国の姿や、世界の国々との関わりを思い描いていけるという点では、歴史上、またとないチャンスでもあります> ―― なんと現行憲法そのものの生い立ちにおける大問題を「狭い視野」と切り捨てている。これではとてもではないが、日本人として「これから百年の国の姿」の設計を任せるわけにはいかない。
もう一つ気になるのが、記者会見における「自民党と民主党の中にいろんな考え方の人がいて、外交政策でリベラル、経済政策で構造改革派の行き場がないのでは。そういう人たちの受け皿をつくりたい」との発言。国を守る政治家としては不可欠な確固たる国家観と国防安全保障観のうち、前者は上述の通り全く頼りにならず、後者については出だしから「外交政策はリベラルにいきますよ」と明言しているわけである。そもそも「地方分権」の「権」とは国家主権である以上、そのうち最重要のひとつである「国防」についての認識がこの程度では、地方分権も何もあったものではない。
これは何も橋本氏に限った話ではないが、昨今の政治家のみならず政党の中には国防安全保障などそっちのけの荒唐無稽な「地方分権」論を唱える向きが多い。軽薄な地方分権論を唱え、リベラル色を隠さぬこうした政治家の出現が朝日新聞をはじめとしたメディアに好意的に受け容れられる(加えてインターネットを除く各種メディア上で何かにつけ然るべき発言の機会を提供される)であろうことは想像に難くない。我が国が内外の危機を抱え、そしてそれにもかかわらず非常に無責任な地方分権論などが幅を利かせているこの状況で、こうした人物、そして政党をどう評価するかといったことも我々国民に突き付けられた試金石である。
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