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教育再生懇談会の困った議論

 本年2月に「社会が大きく変化する時代にあって、明日の日本を担う若者を育てる」「21世紀にふさわしい教育の在り方について議論する」と銘打って設置された福田首相直属の教育諮問会議である「教育再生懇談会」が、今月20日に<教育振興基本計画に関する緊急提言>(以下<提言>)を行い、26日にこれまでの審議のまとめとして<第一次報告>(以下<報告>)を発表した。
 その中で触れられていることについて――たとえば小学生による携帯電話使用の制限などは大いに推進すればよいであろうが、問題なのは<提言>でも<報告>でも重点的に取り上げられている「留学生30万人計画」への迅速な取り組みや「小学校からの英語教育の実施」である。
 前者につき<提言>では「国際競争力強化や安全保障の観点からも国家戦略として迅速に取り組む必要がある」としているが、留学生を今まで以上に大量に受け入れることをどのように「国際競争力」「安全保障」に結びつけるかが全く見えてこない。むしろ日本にとって不利益な形での情報・技術の漏洩が指摘されている昨今、「海外での情報提供・支援体制の整備(日本版ブリティッシュ・カウンシル)」(<報告>)を謳うのであれば先にイギリス並みの防諜体制を整えるのがスジというものであろう。
 また<報告>ではさらに留学生の「卒業者の5割の国内就職を目標とする」とされているが、今の日本でこのような話をすれば、国内就職できない留学生について「就職できる職種(公務員など)や枠を増やすべし」といったなし崩し的議論が巻き起こるのは目に見えている。
 後者については<報告>で「小・中・高・大の各段階の到達目標を立て、国語教育等と矛盾しない形で、全ての段階で英語教育を強化する」としているが、基礎学力の低下がこれまで以上に深刻になっている現状を顧慮すれば冗談ではない。<提言>で「真の国際人になるには、英語力だけでなく、日本のことをよく学び、国語力をしっかり身に付けることが大前提になるのは当然であるが」と前置きし、また「日本の伝統・文化を英語で説明できる日本人を育成する」というのであれば、是非日本の歴史・文化・伝統をよく学べ、身につくような具体的方策を示してもらいたいものである。わが国の教育現場から、英語だけ中途半端に話せて日本のことを何も分かっていない無国籍人を断じてこれ以上輩出してはならない。
 以上のことを踏まえ、当該懇談会には「明日の日本を担う若者を育てる」ためにも根本からの議論の見直しを早急に求めたい。“日本人”となるように然るべき教育を施さなければ、決して子供は将来“日本人”になってはくれないのである。