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拉致問題は「一定の前進」などしていない

 高村正彦外相は日朝公式実務者協議を経た今月13日、北朝鮮側が「よど号犯の引き渡しに協力する」「北朝鮮は拉致問題解決に向けて調査する、解決したとは言わない」と述べたとし、北朝鮮に対する経済制裁の一部を解除する考えを示した。これが実現すれば人道的物資輸送に限っての北朝鮮船舶の入港と、日朝間人的往来が緩和されてしまう。
 これに対して自民党有志の議員連盟「北朝鮮外交を慎重に進める会」(山本一太会長)は拉致問題の明確な進展がない限り北朝鮮に対する経済制裁緩和に反対する方針を確認し、また安倍晋三前首相も経済制裁見直しは百害あって一利なしで一切妥協できないと述べている。もちろん、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(「家族会」)も町村信孝官房長官との会見で「経済制裁緩和は到底受け入れられない」と申し入れた。
 こうした反対論は至極当然である。無辜(むこ)の日本国民を自らの勝手な思惑で拉致し、また、よど号犯という国際的テロリストをかくまってきた北朝鮮の凶悪な所業は周知の通りである。それについて真摯な対応が行われることこそまったく当たり前の話であって、制裁緩和の理由になるべくもない。これまで行われてこなかった、そしてわが国政府がそれを強く促してこなかったことが異常極まりないのである。
 それを、町村官房長官までが記者会見で「北朝鮮は(拉致問題が)未解決だという日本側の主張を受け入れ、拉致問題は解決済みとの立場を変更した。一定の前進として評価する」などと述べたのには驚かされる。そもそも北朝鮮はダメもとで支離滅裂な主張をしているのであって、それを少し引っ込めたくらいで「前進」などと評するのはまさに先方の思うツボである。
 うかつな邪推は控えるべきであろうが、金大中韓国元大統領の秘書であった人物により、北朝鮮が第1回南北首脳会談(平成12年6月)開催の見返りとして韓国側に現金15億ドル(約1600億円)も要求していたことが最近明らかになった(結局5億ドルが支払われ、平成15年に発覚した際関係者は逮捕・起訴)。数の上ではわが国以上の拉致被害者を抱えているとされる韓国に対してすらこうであるのだから、日本に対しても常に本来の立場をわきまえぬ要求もとい恫喝が行われているであろうことは想像に難くない。断固たる決意で事態に当たってくれる政治家が必要とされているし、そうした政治家を選択するのは我々国民しかいない。せめて拉致問題に関してだけでも早急なる世論喚起・国論統一が不可欠である。