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 国籍法改正案は問題だ

 去る11月4日、日本社会の新たな災いの種になりかねない法改正が閣議決定された。

 現行国籍法は、未婚の外国人の母と日本人の父との間に生まれた子が出生前に認知されなかった場合、日本国籍を取得するためには「認知」と「父母の婚姻」を要件としている。それが今回の改正案で、両親が結婚しなくても出生後に認知された子供は、届け出によって日本国籍を取得できるとしたのである。政府は今国会での成立をめざすという。

 今回の閣議決定は、現行国籍法の「婚姻」要件が今年6月の最高裁判決で違憲とされたことを受けてのもの。この法改正によって、確かにこれまで親の勝手な都合などにより日本国籍がなかった多くの子供たちが救われるかもしれない。とはいえ、この法改正によって深刻な問題が起こることは確実だ。

 なかでも最大の問題は、日本で一儲けしたいと考える不良外国人などが、「偽装認知」によって子供の日本国籍を得、違法に在留特別許可を得ようとするケースが確実に増えることだ。子供が日本国籍であれば、その外国人母はその保護者として簡単に日本在住が許可されるからだ。偽装認知には罰則を新設されるが、そもそもプライバシーや人権擁護の観点から、認知の真偽を見破ることは困難。

 また、日本国籍取得を求め、これまで外国で生活し、日本語も日本文化も全く知らない多数の人々が来日することも考えられるが、各地で深刻な「文化摩擦」を惹起しかねない。

 一方、今回の法改正は、フェミニストが説く「家族の多様化」論に事実上お墨付きを与えるものであり、事実婚、夫婦別姓、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の半分としている民法改正などの動きを助長し、家族解体に拍車をかけることも確実だ。

 なお、この国籍法改正は今年6月の最高裁判決に直接の原因がある。
 詳しくはこちら↓
http://www.seisaku-center.net/modules/wordpress/index.php?p=591

経済危機で党利党略を優先するな

経済危機で党利党略を優先するな

 麻生太郎首相は、総選挙を先送りする意向を固めたようだ。連立与党の公明党は早期解散を求めているが、麻生首相は28日に太田昭宏公明党代表と都内のホテルで極秘に会談し、太田氏が年内の衆院選実施に向け早期解散を重ねて迫ったが首相は経済危機を理由に解散を先送りする考えを譲らなかったという。また、民主党側からは「勝てる見込みがないから、解散先送りの口実に経済対策の優先を挙げているのではないか」「金融不況の名を借りて、逃げているとしか思えない」といった主張がなされている。

 麻生首相はまだ就任したばかりだが、経済問題や外交問題での緊急性の高い課題が山積みである。その点では「今は経済が大変な状況にあり、選挙で政治空白を作ることはできない。まず景気対策をやって金融危機を食い止めることこそが政権与党の務めだ」とする麻生首相に分がある。

 菅直人民主党代表代行などは、これまで解散を前提として重要法案審議で自民党と政策協力をしてきたのに、もし解散総選挙を先送りにするならば金融機能強化法改正案に対案を出して対抗すると述べている。政権交代を目指す政党ならば対抗を目的とした対案提出などやめるべきだろう。

 もし対案というなら、たとえば麻生首相は30日昼に北朝鮮の拉致被害者再調査が実現していないことに対して今後新たな制裁措置を検討していく可能性があることを示唆したが、こうした重要問題についても民主党は是非、「より良い対案」を出してほしいものだ。国家国民の利益という視点を欠いた、揚げ足取りばかりの“政策論議”はもうたくさんである。

「庶民感覚」を盾に党利党略に走るべからず

「庶民感覚」を盾に党利党略に走るべからず

 麻生首相が、かつて「料亭通い」を批判された森喜朗元首相を上回る“外食”(各社報道によれば「会員制高級バーでの会合」など含む)を指摘され、批判を受けている。今月22日、こうした問題について「庶民の感覚とかけ離れているのでは」といった記者団の執拗な質問に対して首相は「ホテルのバーは安全で安い」「費用は自分で払っている」と語気を強めた。

 これに対して福島瑞穂社民党党首は「個人のカネで飲むのをノーとはいえないが庶民の感覚では豪遊」、菅直人民主党代表代行は「安いところで酒を飲むというと、われわれの感覚では焼鳥屋だ」、また志位和夫共産党委員長は「国民の厳しい暮らしの状況に思いを寄せない行動だ」などと批判している。正直なところ筆者も高級バーでの連日会合について羨ましさやヤッカミが全く無いといえば嘘になる。しかし「庶民感覚」を盾にした彼らの批判は如何なものか。

 たとえば国防の現場(自衛官の大方も「庶民」であろう)に真摯に想いを馳せることなく、国家国民の無事を願う本来の「庶民感覚」から隔絶して大上段から「日本の平和は憲法9条のおかげ」などと国民を騙しながらお門違いな主張を繰り広げてきたのは、一体だれか。喫緊の問題である拉致問題に関しても、次々と拉致されてゆく「庶民」をなおざりにして北朝鮮との友好を唱えたり工作員の釈放嘆願署名を進めたりした人間こそ、今回「庶民感覚」を持ち出した連中ではないか。

 要するに「庶民(感覚)」といった曖昧な言葉を用いて為にする批判ばかりせず、野党の政治家たちにも実のある政策論議を行って頂きたいということだ。少なくとも、前回の小欄でも触れたマニフェストにおける「永住外国人の地方参政権」や「人権擁護法案」は、庶民感覚どころか、国家国益を担うわが国政治家がまともに政策論議をした結果だとは思えない。

民主党「政策リスト」が語る左翼体質

民主党「政策リスト」が語る左翼体質

 去る15日、民主党が「政策インデックス2008」を公表した。これは民主党がかかげる300余りの政策リストともいうべきもの。選挙用の公約(マニュフェスト)とは違ってあまり話題にはならないのだが、彼らが何をしようとしているのか、政策の全体像というものが分かる。

 そのいくつかを挙げてみよう。まず1頁目から「戦後処理問題」として「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」が登場する。要するに、いわゆる「慰安婦」と言われる人たちに対して謝罪・補償をしましょうというもの。また、この項目には、慰安婦問題や強制連行、戦時の日本軍の「残虐行為」を専門に調査する部局を国会図書館に設置することにも触れられている。

 また、靖国神社という一宗教施設が「わが国における戦没者追悼施設の中心施設」であるのは、「憲法で規定している『信教の自由』や「政教分離」に抵触する」から、「特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置に向けて取り組みを進めます」とも書いている。

 政治改革の分野では、「永住外国人の地方参政権」に触れ、「民主党は結党時の『基本政策』に『定住外国人の地方参政権などを早期に実現する』と掲げて」いることを確認している。

 教育分野では、「学習指導要領の大綱化」や教科書採択を学校単位とすることなど、支持組織である日教組の主張が随所に出てくる。この他、民主党版の人権擁護法案もあれば、夫婦別姓の早期実現、「ジェンダーの視点にたった」男女共同参画も登場する。

 この新版政策リストを読んで言えることは、民主党には旧社民党的というか、左翼体質ともいうべきものがしっかりとこびりついているということである。

民主党「政権構想」の重大欠陥

民主党「政権構想」の重大欠陥

 麻生新政権が誕生し、いよいよ政治の焦点は解散・総選挙に絞られた。果たしてきたる総選挙で政権交代となるのかどうか、麻生首相にとっても小沢代表にとっても、まさに負ければ後がない選挙であるだけに、注目はいやが上にも高まろう。

 とはいえ、こんな時こそ冷静に、一体どちらに投票することがこの日本のためになるのか、それを国民は真剣に考えるべきだと思われる。というのも、民主党支持者には申し訳ないが、民主党が政権構想として主張する政策には幾多の見逃し得ない欠陥があり、果たしてこの党にこの日本を委ねることができるか、大いに疑問なしとしないからである。

 疑問の第一はやはり外交・安保の問題であろう。この二十一日、小沢代表は臨時党大会で所信表明演説を行い、九項目からなる政権構想を打ち出したが、この問題についてはほとんど内容のある言及がなされなかったからだ。一言「国際社会の平和で、日本が地球のために頑張る」としただけだったというのだ。

 万年野党ならまだしも、一体この程度の認識の政党に国際社会での日本の舵取りを任せられるのだろうか。国際的なテロとの戦い、日米同盟の今後、金融危機への対処、覇権追求的な色彩を強める中国やロシアとの関係……等々、民主党が政権を担うことになれば、かかる問題への対処は一日といえども猶予は許されない。にもかかわらず、このピンぼけぶりは一体どういうことなのか。それだけではない。筆者が危惧するのは、この党の中に、それに関わる真剣な党内議論が行われた形跡すらないというお寒い事実である。

 疑問の第二は経済政策である。「小泉改革以来、自公政権が市場万能、弱肉強食の政治を推し進めてきた結果、日本社会は公正さが失われ、あらゆる分野で格差が拡大した」と民主党は言う。この指摘には異論はない。また、そのために「社会のセーフティネットこそ経済が持続的に発展するための大前提だ」との認識にも全く異論はない。しかし、問題なのは提示される政策がかかるセーフティネット論に限られることだ。

 あえて簡略化していえば、民主党の政策には分配の視点はあるが、その前提となるべき経済そのものの拡大という政策がない、ということであろう。弱者重視、格差是正、社会の公正さ確保という視点はよいとしても、しかしそれは社民党や共産党の経済政策とどこが違うかということなのだ。今問題となっている金融危機にどう対処するか、減速し始めた日本経済をどうするか、あるいはグローバル化が進む世界経済の中で、いかに日本経済を強くし、活性化させ、将来的な繁栄を実現して行くか……等々、かかる問題に対する認識、将来ビジョン、対処の道筋が全く見えないということなのだ。

 新聞などはこうした民主党の政策に「財源が不明確だ」と、判で押したような批判を加えている。確かにそれはその通りとしても、しかし問題はそれより、この政権構想の中に経済政策としての「全体像」がないことの方が、むしろ問題としては重大なのではないか。自民党が悪い、官僚が悪いと、政府を批判することに急なあまり、しからばこの日本経済をこれからどう再構築して行くのか、かかる前向きのビジョンの方にまでは関心が回らなかったのだとしたら、誠にお粗末と言う他ない。

 筆者は積極的な財政出動を否定する者ではない。しかし、それはあくまでも「将来の産業構造」をしっかり視野に入れたメリハリのある内容であることを前提としてである。ただそこに矛盾があるといっては税金をつぎ込むという旧来型の姿勢では財政はもたない。そのためにも、日本経済の確たる将来像を具体的に示してみせることが大切なのだ。

 疑問の第三は、これは政権構想の問題ではないが、民主党のリベラル色の問題である。例えば輿石参議院議員会長の存在を見ればわかるように、民主党の下部構造は日教組、自治労、部落解放同盟、左翼市民運動団体等々の左翼系団体によって成り立っている。民主党はこれらの団体と果たして今後、どのような関係を築いて行くのか、という問題だ。

 彼らの言う「官僚任せ脱却」はいいとしても、「組合任せ脱却」の方はどうも、というのでは話は通らない。「国民主導の政治」にするというのなら、この辺も同時にはっきりさせる必要があるのではないか。(日本政策研究センター代表 伊藤哲夫)

※日本政策研究センター発行の情報誌『明日への選択』10月号から、許可を得て転載しました。同センターのHPには「民主党特集」が掲載されています。
     日本政策研究センター → http://www.seisaku-center.net/
     民主党特集 → http://www.seisaku-center.net/modules/wordpress/index.php?cat=33

日教組と学力の関係

 中山国土交通大臣が辞任した。マスコミは中山大臣の「ごね得」「単一民族」「日教組と学力」発言を「失言」だと批判し、あっという間に辞任への流れが作られてしまったが、果たして「日教組の強いところは学力が低い」との中山発言は「失言」なのだろうか。

 朝日新聞は、「小6の全科目でトップ、中3もすべて上位3位に入った秋田の組織率は5割以上。組織率が9割近くと全国トップを誇る福井は、中3の3科目で1位」であり、逆に、「小6、中3の全科目で最下位だった沖縄の組織率は4割弱にとどまる。中3の全科目でワースト2位だった高知に至っては1割に満たず、何ともバラバラだ」といい、「調べてみれば相関なし」と批判した。

 しかし、朝日が主張は明らかにおかしい。というのも、中山大臣が言った「日教組の強い」ということと「組織率」とは一致しないからだ。秋田は組織率は高いが、いわゆる日教組活動が盛んなわけではない。例えば、昨年の参議院選挙比例区で日教組の組織内候補はたった6百票余りしか得票していない。福井は、いわば教育関係者のほぼ全員が加入し、県教委も校長など管理職も一体という特殊なケースで、日教組が強いとは到底言えない。

 逆に、組織率が低いとして朝日が挙げた沖縄は、米軍基地包囲集会や昨年の「集団自決」を巡る教科書検定問題では他の組織に先駆けて集会を開くなど、その政治力の強さはつとに知られている。高知で日教組の組織率が低いのは、平成元年に分裂した共産党系の全教が一定の組織率を持っているからに他ならない。

 日教組も中山発言を批判しているが、日教組が学力向上に取り組んだケースを一つでも示せば説得力をもつはずなのだが、そうではない。それもそのはずで、そもそも「子ども中心主義」を掲げて、授業時間の大幅削減を含む「ゆとり教育」に賛同・推進し、子どもの「あるがままでいる権利」(要するに登校するのがいやなら来なくてもよい)などを主張してきたのが日教組だった。また、彼らは頑張った教師を評価することも反対し、競争を教室に持ち込むなと学力テストの実施にも反対してきた。学力向上の足を引っ張る活動をしてきたのが日教組だったとも言える。

 学力の高低には、教師の側だけの問題ではなく、家庭や地域の問題も関係するだろう。しかし、こうした日教組の活動から考えれば、むしろ「日教組の強いところは学力が低い」のが当然であり、そうした日教組にこそ批判の目が向けられるべきであろう。

麻生首相の「集団的自衛権解釈見直し」に期待する

麻生首相の「集団的自衛権解釈見直し」に期待する

 国連総会に出席するために訪米した麻生首相は25日夜、国連本部で記者団に対し、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈について、行使できるように変更すべきだとの持論を改めて述べたことが報じられている。

 集団的自衛権については、安倍内閣の下で設置された有識者懇談会(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)が今年6月、集団的自衛権の解釈変更を求める初の報告書を提出したが、福田前首相にお蔵入りとされた。麻生氏が首相としての外交デビューの場で、敢えて集団的自衛権について、踏み込んだ発言をしたことを高く評価したい。

 この首相発言について、産経新聞は「首相の日米同盟重視の姿勢を表したもの」であり、集団的自衛権の問題に「全く関心を示さなかった福田康夫前首相とは大きく異なる『麻生カラー』を外交面で明確に打ち出し始めたともいえる」と解説をしている。今回の発言には、最近何かとぎくしゃくし始めた日米関係の改善・強化へのメッセージが込められているということであろう。

 むろん、集団的自衛権の解釈変更には自民党内にも慎重論があり、公明党は反対姿勢をとっており、前途多難である。とはいえ、有識者懇談会の報告書を麻生首相は「尊重する考え」とも報じられている。首相のリーダーシップに大いに期待したい。

領海侵犯への抑止力を持て

領海侵犯への抑止力を持て

 14日早朝、高知県沖で潜水艦による領海侵犯事件が発生した。海上自衛隊のイージス艦が潜望鏡らしきものを発見したが、取り逃がしたという。潜水艦の国籍は不明だが、中国海軍所属の宋級潜水艦ではないかとの情報がもっぱらである。中国の潜水艦は、四年前にも先島諸島で領海侵犯事件を起こしているが、今回も中国だとすれば、南西諸島のラインを遙かに越えて四国沖にまで入り込まれていたことになる。これは由々しき事態である。

 ただ、このことを自衛隊の探知能力の問題だとするだけでは的はずれだろう。というのは、領海侵犯に対して日本は抑止力を持っていないからだ。潜水艦が浮上しないまま領海内に入った場合など、海上保安庁では対処できない事案では、原則として海上警備行動(自衛隊法第93条)が発令される。しかし、仮に発令されたとしても、この海上警備行動では警察官職務執行法に基づいた行動しかできない。つまり、相手が攻撃してこない限り、浮上するよう呼びかけるといった方法しか取れないのである。

 事実、4年前のケースでは中国原潜は結局は潜水したまま中国領海まで逃げ切った。要するに、日本の領海を侵犯したとしても、自衛隊には実力をもって警告・排除できない法的縛りがあり、決して攻撃してこないことは既に知れ渡っているということでもある。

 かつてスウェーデンは、領海を侵犯したソ連の小型潜水艦に対して爆雷を投下して排除した。これが国際常識である。実力で警告し、最終的には排除しうる(むろん、海上自衛隊はその能力をもっている)法制に変更しなければ、領海侵犯はなくならない。一日も早く、自衛隊法に海上での「領海警備」の任務が追加されねばならない。

自民党総裁選・それぞれの主張を見極めよ

自民党総裁選・それぞれの主張を見極めよ

 先週の「主張」でも触れた福田康夫氏の後任を決める自民党総裁選(22日投
開票)が今月10日に告示され、麻生太郎幹事長・石破茂前防衛相・石原伸晃元
政調会長・小池百合子元防衛相・与謝野馨経済財政担当相の5氏が立候補する
こととなった。5候補が乱立する総裁選は昭和45年以来38年ぶりであるが、推
薦人制度が存在せず佐藤栄作(総裁再選)・三木武夫(次点)以外は本人分1
票しか得票のなかったという往時のケースと違い、ある程度は文字通り「乱戦」
となるであろう。巷では麻生優勢がささやかれるが、議員票の過半数を獲得で
きない場合に決選投票で波乱が起きる可能性も指摘されている。

 一方、8日に告示された、最大野党である民主党の「代表選挙」は唯一の立
候補者である小沢一郎現代表の無投票3選が確定している(21日臨時党大会で
了承され正式選出)。これについて小沢陣営の選挙対策責任者である藤井裕久
元蔵相は「党内は一枚岩であるのが大事で、セレモニーは避けるべきだ」と述
べたが、自民党総裁選を「茶番劇」だと批判するとすればこの体たらくはどう
したものか。立候補者が一人しか居ない「選挙」以上のセレモニーがどこにあ
ろう。取るに足らぬメール問題でミソをつけた幹部が無理ならば、せめて安全
保障政策で「国連中心主義」を夢想している小沢と一線を画する論者が名乗り
を上げてもいいはずではないか。いや、これから自民党と本格的に政策論議を
行うつもりならば是非とも名乗りを上げてしかるべきだったであろう。

 こうした事態は畢竟、民主党も小沢という存在に引きずられた結果、建設的
な政策論議を行う気概が無いということを意味する。であればこそ、我々国民
が自民党総裁選の候補者それぞれの主張に耳目を傾け本当に国家国民の利益を
守ってくれる存在であるかどうかを見極める必要がより一層あるということで
ある。例えばアメリカ大統領予備選挙についても、各候補の具体的政策などを
なおざりにしたまま「オバマガールズ」などばかりクローズアップして今後の
日米関係、あるいはその頭越しの米中関係などをなおざりにした報道を繰り返
す我が国マスメディアが全く頼りにならないことは論をまたない。今こそ腰を
落ち着け、我が国にとって適切な指導者を選ぶことこそが、以後しばらくにわ
たっての日本の安全や東アジアの安定に寄与するものであるという自覚をもつ
ことこそが、我々草の根の国民には求められている。(残念ながら)目下暗礁
に乗り上げつつある拉致問題の解決もそうであるが、もはや一刻の猶予も許さ
れない状況である。

より「ベター」な政治家は誰か?

 福田首相の突然の辞任を受けた自由民主党総裁選挙(9月10日告示、22日投開票)は、目下最有力候補とされる麻生太郎前幹事長・小池百合子元防衛相・石原伸晃元政調会長・与謝野馨経済財政担当相のほか、5日になって更に石破茂前防衛相・棚橋泰文元科学技術担当相・山本一太外務副大臣が相次いで出馬意向を表明し、乱戦模様となりつつある。

 加えて4日夜、北朝鮮が「日本の新政権の北朝鮮政策を見極めるまで」拉致問題に関する再調査委員会の立ち上げを延期すると通告してきた。北朝鮮の「嫌がる事はしない」ような政権が誕生することがあってはならないのはもちろんのこと、これまでほとんど拉致問題解決に向けた貢献もしていない鳩山由紀夫幹事長が「政治の混乱を完全に見透かされている。拉致の解決が遠のくのも自民党政治がもたらしたことだ」などと述べて政争の具にするような民主党にまだまだ政権担当能力がないであろうことも論をまたない。
 
 次期政権の模様についてはまだまだ予断を許さない状況であるが、ここで我々は改めて民主主義の現実を思い出しておくべきであろう。すなわち、民主政治では「ベスト」ではなく「ベター」を選ぶことにならざるを得ないという厳然たる現実である。

 いわゆる保守陣営から比較的評価の高い麻生氏にせよ、たとえば靖国神社に関しては「非宗教化」といった怪しい議論を展開したこともある。しかし、そうした点も踏まえたうえで、保守の巻き返しの観点からより「まし」な首相を選び、支持してゆかなければならないというのが現実といえる。

 かつて戦後レジームからの脱却をめざした安倍内閣を孤立無援の状態に追いやってしまった経緯もある。候補者に対して色々と不満はあれど、「戦後レジームからの脱却」に向けて、いきなりのベストが無理ならばベターを積み重ねていこうという「忍耐力」も今の保守陣営には求められているのではあるまいか。

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