国民の過半数が反対しているにもかかわらず、今国会に夫婦別姓法案(民法改正案)が提出される可能性が高まっている。そんな中、朝日新聞(2月24日付)に掲載された主婦(30歳)の次のような投稿が目に付いた。
《母親の就労に関する投稿を今まで多々読ませて頂きましたが、いつも思うのは、「子どもの気持ち」が議論から抜け落ちているのではないかということです。
私は、共働きの家庭で育ちました。母親は公務員で、私は生後2カ月ほどで乳児院に預けられました。小学校に上がると、今のように学童保育はなかったため、夜までひとりでお留守番。やっと母親が帰ってきても、家事に追われ、かまってくれませんでした。風邪を引いて熱が出ても、仕事を休んでもらえませんでした。子どもの時の記憶に母親の姿はほとんどありません。……》
何とも気の毒な話だが、この投稿が印象深いのは、〈「子どもの気持ち」が議論から抜け落ちている〉というのは、まさに今の別姓論議についても当てはまることであるからだ。夫婦別姓は親子別姓でもあるから、当然子供も当事者となるが、これまで政府が子供を対象とした意識調査を行ったという話は全く聞かない。
ただ、幾つかの民間の調査によると、過半数の子供たちが親子別姓に嫌悪感や反対を表明していることが知られている。同時に、別姓が「子供にとって好ましくない影響がある」と考える大人の割合は七割近い。民主党政権が許せないのは、こうした事実があり、しかも同党は日頃「子供の最善の利益」がどうだとか、「チルドレン・ファースト(子ども第一)」などと言いながら、多数の子供が反対する法案制定に突進しようとしているからだ。
さて、先ほどの主婦はさらに続けて次のように記している。
《働いている女性は自分らしい人生を生き、笑顔は輝いていることでしょう。/その笑顔を子どもに向けていますか? 子どもに「私より仕事の方が大切なんだ」と思わせてしまっていませんか?》
仮に別姓法案が実現すれば、現行の夫婦同姓制について、「職業上の不便・不利益を強いられる」だとか「個のアイデンティティの侵害」だとか、要するに子供の気持ちよりも自分の気持ちを大事にしたい一部の女性たちは、これで「自分らしい人生」を生きられると、輝く笑顔を見せるのかもしれない。しかし、子供たちは成長するにつれ、「私より自分の方が大切なんだ」と、別姓を選択した親の気持ちを正確に見抜くことだろう。
今からでも遅くない。別姓法案を今国会で力づくで可決するような拙速な振る舞いは即刻改め、無視されてきた「子どもの気持ち」をしっかり把握し、議論すべきである。