記事一覧

別姓導入に「賛否が拮抗」のウソ

 千葉景子法相が選択的夫婦別姓(以下、別姓と略)を導入する民法改正案を来年の通常国会にも提案したい意向を示したこともあり、各紙が別姓問題の記事を盛んに報じている。

 首を傾げざるを得ないのは、別姓導入に対する「最近の国民意識」についての論評である。別姓導入に対する立場の違いに拘わらず、各紙とも判で押したように「賛否が拮抗」などと評している。この論拠とされるのは、平成十八年の内閣府調査において、別姓導入について「構わない」(容認派)が36・6%、「必要ない」(反対派)が35%となった事実である。これだけ取り出せば、たしかに「賛否が拮抗」と言ってもよさそうにも見える。

 しかし、実はここには重大な誤魔化しがある。というのも同調査には、いわば「夫婦同姓を前提とした通称使用のための法改正」という第三の選択肢があり、この賛成が25・1%あったからだ。この「通称使用のための法改正」を求める人々は、正確に言うと、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべき」と考える人々であり、明らかに同姓維持派と言える。言い換えれば、この人々は広義の別姓反対派とみなし得る。

 とすれば、別姓反対派は先の35%に25・1%を加えた60・1%となるはずだから、少なくとも選択的別姓制導入について「賛否が拮抗」と論評するのは誤魔化し以外の何物でもないことになる。この場合、「反対が賛成の1・6倍」と評するのが正しい。

 しかし当時、大方のマスコミはこの「広義の別姓反対派」を反対派に含めず、調査結果を「賛否が拮抗」とねじ曲げて報道した。この詐欺的な誤報をマスコミは未だに正すことなく、国民に大ウソを垂れ流し続けている。マスコミ報道を鵜呑みにしてはいけない。