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「政権交代」は流行語か

 本年も最後の月となった初日である12月1日、「ユーキャン新語流行語大賞」審査委員会が本年の新語流行語大賞のトップテンおよび大賞を発表した。1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を顕彰するとされているものである。

 〈トップテン〉として「こども店長」(ドラマ・CMで話題の子役加藤清史郞)「新型インフルエンザ」あたりはまあ順当なところかもしれないが、同じく〈トップテン〉として「草食男子」「歴女」などが出てきているのは、対外的には “日本の男性はここまで腑抜けになりました”“日本の女性は今まで自分の国の歴史にも興味をもっていませんでした” と宣伝しているみたいで(他の国の実態がどうであれ)みっともないと思うのは筆者だけであろうか。同じく「事業仕分け」「脱官僚」も、単なるメディアによる民主党称揚の伏線としての煽動に過ぎないのではないかという邪推を禁じえない。

 そして同様に煽動の一環としてもさらに呆れてしまうのは、やはり〈年間大賞〉に選ばれた「政権交代」である。衆議院の多数党が選挙により入れ変わることで完全な政権交代が起こったのは戦後史上はじめてであるが、本来これは議会制民主政治の基本といわれる「憲政の常道」というものであり、戦前のわが国でもあったことである。この賞はほかでもない鳩山由紀夫首相が受賞したわけであるが、彼をはじめ民主党幹部とてつねづね「政権交代は民主政治の基本」だと(少なくとも政権獲得前はさかんに)主張していことは周知の通りである。だとすれば鳩山首相も、「政権交代」は(来年には忘れ去られてしまうような)流行語などではなく、これは民主政治における常套句あるいは最低条件です…くらいのことを言ってほしかった。ところが賞の表彰式に代理で出席した小川敏夫民主党広報委員長は厚顔無恥にも「今年は政権交代だが、来年からは政権堅持」などとあいさつしている。

 ちなみに昨年、辞任会見時の「あなたとは違うんです」で〈トップテン〉に選ばれた福田康夫元首相は受賞を辞退した。どちらがマシかといった程度の話にしかならないが、結局重要なのはわれわれ国民こそがメディアのくだらない商業宣伝に流されず社会情勢を見すえ、言葉というものの大切さと真摯に向き合う意志をもてるかどうかということではあるまいかと具申して筆をおくこととする。